ベットに入って眠る前のひととき、こんな本はいかがでしょう…。
『みえるとか みえないとか』(アリス館)
『目の見えない人は 世界をどう見ているのか』(光文社新書)
「そもそも ぼくたちは みんな ちょっとずつちがう。
みんな それぞれ そのひとにしかわからない、そのひとだけの みえかたや かんじかたを もっている。(中略)おなじところを さがしながら ちがうところを おたがいに おもしろがれば いいんだね」
(『みえるとか みえないとか』より)
「もちろん見えない人の苦労や苦しみを軽んじるつもりはありません。でも見える人と見えない人が、お互いにきちんと好奇の目を向け合うことは、自分の盲目さを発見することにもつながります」
(『目の見えない人は 世界をどう見ているのか』より)
伊藤亜紗さんの著作『目の見えない人は 世界をどう見ているのか』は、ヨシタケシンスケさんの絵本『みえるとか みえないとか』の原案となった本だそうです。
伊藤さんは東京工業大学リベラルアーツセンターの教授で、本書で紹介されているのは、「美学的な立場」からの視覚障がいの研究です。伊藤さんは視覚障がいを「視覚情報の遮断」つまり「欠如」と捉えるのではなく、「視覚抜きで成立している世界」を感じる生き方と捉えます。
「四本脚の椅子」にも、「三本脚の椅子」にも、それぞれのバランスの取り方があるように、体の特長に沿った世界の捉え方、バランスの取り方があり、それがその人にとっての「当たり前」だと。その関係は「手を差しのべる者」と「差しのべられる者」という概念を越え、どこまでも対等です。
この伊藤さんの研究を、子どもにも分かるように絵本に「翻訳」されたヨシタケシンスケさんの表現力も見事です。うしろにも目がある宇宙人、空を飛べる宇宙人、口が長い宇宙人…。地球から来た「ボク」の体とは、みんなちょっとちがっていて…。
ヨシタケさんらしいユーモアをたっぷり織り交ぜて描かれたフシギな星のフシギないきものたちは、それぞれの体の特長から「見える」「感じる」世界をあたりまえに生きています。
「ふつう」ってなに?それって本当に「あたりまえ」?
まずは子どもたちがそんな心の扉を開いてくれたらいいなぁと、願いを込めて読み聞かせた一冊です。
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