広瀨浩二郎著『触常者として生きる―琵琶を持たない琵琶法師の旅』

By Namimoto - 4月 12, 2020




国立民族学博物館の広瀨浩二郎先生の新刊『触常者として生きる―琵琶を持たない琵琶法師の旅』(伏流社)が発売中です。イラストレーターの日比野尚子さんからお声かけいただき、装丁をさせていただきました。

広瀨先生は13歳の時に失明しました。でも先生自身は日々出張で各地を飛び回りいたって健康です。障害者の対となる言葉が健常者だとしたら、先生はどっち?となります。先生自身は、視覚に頼らず常に触ることをしている人を“触常者”と、いつも見えている人を“見常者”という言い方をしています。とてもポジティブな捉え方です。これまで先生はユニバーサルミュージアムテーマにした展示会を開催されてきました。展示物を触れたりなど触常者も見常者も楽しめ、各々に発見がある展示会です。
装丁の打ち合わせの時に、先生から手と指先で物を把握するためにどのように触っているのかを教えていただいたりしている中で、目に頼りきっている自分は手や耳のポテンシャルを全然活かしていないことに気づきました。そんなやり取りを通して、私もユニバーサルな装丁をしようと取り組んでできた本です。
装画をされた日比野さんの絵にはいつも独特の味わいがあります。イラストがよいと早くも新聞記者に評判です。触図は専門家の小川眞美さんです。この本はとても指先に刺激を感じることができるのでぜひ手に取ってみてほしいと思います。書店のほか、国立民族学博物館にも置いています。Amazonからも購入できます。
広瀬先生の言葉巧みな、時に親父ギャグを織り交ぜながら、鋭く視覚優位社会にもの申す琵琶法師(広瀬先生)の旅を読んでみてください。






追記:4/15に朝日新聞に、4/21に毎日新聞に取材記事が掲載されました。ネット版をリンクします。

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